2023年末にリニューアルした弊社ホームページですが、シンプルで大阪風に言うところの『シュッとした』サイトをイメージした為、見やすいと旧知の方々には言って貰える反面弊社をご存じない方には今ひとつ感じるものがないといった意見も見られた為、少し弊社の体温を感じられる程度にはメッセージを発信しておこうと不定期のを新着メッセージに織り交ぜて記録していきたいと思います。皆様のお目汚しとなるかも知れませんがお手隙の際に目を通していただけますと幸いです。
『今後の宮崎株式会社、真空成型(成形)加工とプラスチックの未来について』
突然の事業承継から三年、コロナ禍真っ只中での代表交代に加え世は脱プラ、減プラ、海洋プラごみ汚染などを筆頭とする逆風吹き荒れる渦中の事業承継に、流石にこの会社・業界に入って20年超とはいえ不安が無い訳もなく、同業他社の皆様同様もしくはそれ以上に苦しい状況を乗り越えてまいりました。この厳しい状況でもなんとか無事皆様にご迷惑をかけることなくこうして事業継続できておりますのは何よりもまず関係各位皆さまのおかげであり、また常に協力し事業を共に支えてくれている社員みんなのおかげというところに尽き本当に有り難いことであると常々心より感謝しております。
よく事業は『三方良しであれ』、『人、もの、金のバランス(近年では『人、もの、金、に加えて 情報』でしょうか)が重要』などと言われますがこれはまさにその通りで、特に中小企業においてはますますそのバランスが大切であると身にしみる毎日、人を大切にし人を活かす経営とは何か、日々精進と勉強の毎日を過ごしております。
弊社が生業としている真空成型加工は、旧来よりその導入費用の手軽さから多品種小ロットに留まらず幅広い業界で重宝されてきた加工方法であり、当然ながらプラスチックと真空成型無くして世の中のパッケージは決して成り立たないと考えております。プラスチックの加工方法には大別して真空成型と圧空成型、射出成形、ブロー成形、熱板成形など多くの加工方法に分かれている中でも、その目的で当然向き不向きはあるのですが特に初期費用を安く抑えられるのが真空成型であり、だからこそ最も身近なところにある製品が真空成型によって生産されているということになるかと思います。
報道などでご存知の通りゴミ問題、CO2排出削減問題などに絡み矢面に立たされているプラスチック業界は、この数年で身の回りのプラスチック製品が無くなったり大きくその仕様を変えたりしてきておりますが、紙や金属同様その大半がリサイクル可能であり、仮にゴミになったとしても処理の大半を焼却処理に頼っている日本のゴミ処理事情(土地の少なさや環境意識の低さ、大量消費&大量廃棄という現代人の生活スタイルなどによる)によって焼却補助剤としてプラスチックゴミは『熱リサイクル』という形で有効利用されております(この呼び方には様々な意見がありこれが一概に正しいとは申し上げられませんが)。
何よりまずこの『焼却』という日本の廃棄処理システム、国民意識の低さを改めなければいくらプラスチックゴミを減らしても生ゴミをより効率的に燃やす為の燃焼補助剤として重油を使用するだけという、あまり意味のない事をしなければいけない現実をどれだけの一般消費者が理解しているのか甚だ疑問に思います。兼ねてよりその利便性、リサイクル特性、そして見た目や優れたデザイン性を重視して活用されてきたプラスチック製品はその多くが紙に変わったり、見た目の悪いビニール袋や、そもそもパッケージすらやめて裸の状態で並べるだけという最近の潮流には憤りさえ覚えます。紙とビニールがごちゃ混ぜになった包装資材やエコを謳った添加剤の入った製品や包装資材はまともにリサイクルすることも出来ず燃焼補助効果もあまり無いそれこそただの『ゴミ』になってしまいます。
そんな中、我々は同業者一丸となってシートからまたシートに戻すことのできる並行リサイクルの推進により石油資源消費を減らす取り組みに加え、CO2排出削減効果が高く植物由来のバイオマスプラスチックを含有する、より環境負荷の低いプラスチックシートの活用にも取り組んでおります。バイオマスプラスチック含有シートはその製造価格の高さから現行品の含有率は3〜25%とまだ低い状況ですが、この低い添加率でも少しずつその配合製品を使いまたそれをリサイクルして行くことでリサイクルプラスチックのバイオマス含有率は次第に増えていき、理論的には少しずつ100%バイオマス由来のリサイクルプラスチックで流通するというゴールに近づいていくことにもなります。
重要なのは何を正しく選択し何を行うかであり、特にこの日本において豊かで環境にやさしい社会を実現していくためにはこの国の消費システムを充分理解した上でどのような消費行動が最も環境負荷が低いのか、どのような生産活動がより効率的で意味のある選択肢なのかを知り、行動していくことであると考えます。
だからこそ我々は常に悩み、学び、そして日々行動することによって我々が100年以上前から使い続けてきたこのプラスチックという材料がどれだけ我々の生活を支え、豊かにしてきたのかをより多くの人に理解していただき、微力ながらより良い社会を作っていく手助けができるよう取り組んでいきたいと考えております。
皆さんの身の回りにあるその製品はリサイクルできるのか。またリサイクルにどれだけのエネルギーを使うのか。一見するとエコな商品に見えて意外に無駄な廃棄を、不必要なエネルギーロスの原因になっていないか。デザイン性は?それが本当に自分たちが望んだ形なの?といったような事を少しずつ考えていただければより環境に優しく、本当の意味での豊かな社会形成の一部になりうるのでは無いかと考えております。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願い申し上げます。